Period 3: Fragments

木村 秀樹
Hideki Kimura

2016.8.6(sat) - 2016.8.27(sat)
13:00 - 19:00 日曜・祝日休廊
Closed on Sundays and National Holidays


Opening Talk : 2016.8.6 sat 17:00 - 無料 ※ 終了致しました
Talk: Talk: 木村秀樹 × 中谷至宏氏 (京都市美術館学芸員) × 出原司氏 (美術家)

展覧会最終日 関連イベント:ピアノDUOコンサート "Fragments" ※ 終了致しました
2016.8.27 sat open 19:00, start 19:30-,
料金:¥1,500.-
出演:Hada Benedito Mateo (from Berlin) x sara (.es ドットエス)
Special Guest : 山路敦司 (作曲家, 音楽デザイナー/ piano), 橋本孝之 (.es ドットエス / sax)

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“木村秀樹 Hideki Kimura: Project Periods 2015-2018” Project Site


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木村秀樹-70年代の鮮烈なデビューから現在・未来に至る仕事。 現代版画を“超俯瞰”する計7回、4年間にわたるプロジェクト、 “Hideki Kimura: Project Periods 2015-2018”

20代の頃から国際的な版画展に出品し多くの賞を受賞、国際的にも高い評価を獲得。長年に渡り第一線で活躍を続けている日本を代表する画家/版画家、木村秀樹。特に70−80年代に制作された作品群は国内の主要美術館に収蔵されており、ご覧になられた方も多いと思います。

  ギャラリーノマルで昨年より始まった、木村秀樹の70年代から現在に至る仕事を、4年間計7回の会期(Period)で開催するプロジェクト、"Project Periods"。
このプロジェクトは、時代を越えてなお色褪せることのない魅力を放ち続ける70年代初期の作品から最新作までを、系統立て俯瞰的にご覧いただくことで、木村の思索の遍歴をたどり、その魅力に迫る試みとなります。


毎回、版画の新たな可能性を提示する新作を発表!
今回のプロジェクトでは、作品全体の中から10のシリーズを選び、当時と同様ないしは類似のポジ/版を用いて、木村の現在の視点からの新作シルクスクリーン作品を各ピリオドごとに制作、旧作と併せて展示します。10枚の新作版画作品は、会期の終了時(2018年を予定)、1冊のポートフォリオとして出版いたします。

なお、今回のプロジェクトでは、木村を古くから知る京都市美術館学芸員、中谷至宏氏に4年間、各回でナビケートをご担当いただき、客観的な視点からも木村の仕事の本質を探ります。


Period 3 : Fragments の見どころ
今展では、構成要素を削ぎ落とし、大型のキャンバスにダイナミックに刷られた80年代中後半頃の作品を中心とした展示をご覧いただきます。同作品群は現存する作品がほとんどなく、大変貴重な機会となります!楽しみにお待ちください。



作家コメント

 1972年から現在に至る制作の展開を、7回の展覧会を通じて紹介します。私のこれまでの制作は、いくつかのシリーズの連続体/集合体と見なす事ができるかもしれません。"Periods" は、それ等のシリーズを、時系列に則して、合理的/回顧的に紹介する事を目指しますが、その事は逆に、各シリーズ間に、技法的、素材的、内容的、時間的な、浸潤、交錯、反復といった、分節化不可能性を再認識させる事になると想像しています。制作遍歴の中に、別の違和を発見し、新たな展開に繋げる事、これが "Periods" に託した木村の課題です。

第3回 Periods は「 Fragmentsー断片」をキーワードとし、1984年~1988年に制作した作品と新作シルクスクリーンを併せて展示します。
断片とは、日常的な(通常の)関係から、ランダムに切り離された、事物あるいはイメージを指します。
孤立化させられたイメージが持つ強靱性と浮遊性を、写真製版のシルクスクリーン技術に内包された、レイヤーと言う相対化システムを通じて、培養する事あるいは解放する事の可能性を探っていた時期の作品群です。
ディペイズマンでもなくアッサンブラージュでもない、別の構築原理を探っていたのかも知れません。


木村秀樹 Hideki Kimura



「断片の咆哮」中谷至宏

 木村秀樹は京都市立美術大学3回生の時、制作展に«Mへの手紙、あるいは限界としての3時30分≫を出品した。長方形の合板に三角形の板を立てて日時計を作り、3時30分の時の影を描いておく。すると実際の日光の影は、1日の内に徐々に描かれた影の形に近付き、一度だけぴったりと重なり、また徐々に形を変えてゆく。時間に委ねられた実体と現象との出会い。これは木村作品の基盤を成す、像の「半透明性」への端緒であると同時に、現在進行中の”Periods”プロジェクトが持つ「半透明」な自己言及性の予言であったと思えなくもない。
木村の自作への新たな測定行為は今回で3つ目の局面を迎えた。「Pencil」、「Water bird」とくれば、次は「A Lion in Winter」かと思いきや、タイトルは「Fragments」。シリーズ名ではなく、思考概念が持ち込まれた。思えば今回対象の1984年~88年の時期には「A Lion in Winter」に代表されるような描写対象を指示せず、生み出されたイメージと曖昧な関係を持つ語句を用いた作品タイトルの割合が増したように感じる。木村は、「断片とは、日常的な(通常の)関係から、ランダムに切り離された、事物あるいはイメージ」と定義する。その際、関係からの切断を、切断自体が意味を成すシュルレアリスムのデペイズマンでもなく、断片の積層自体を方法化するアッサンブラージュでもない「断片」自体の強度に導く構造化を課題としたと言う。この時、刷られたイメージとタイトルの語句の関係、さらには「ライオン」と「冬」や、「梯子」と「男」などタイトル内の断片としての語相互の関係は、偶然の出会いでも隠喩の多層化でもなく、必然的な無関係として、断片の強靭化に寄与しているようにも思える。
またこの時期で特筆すべきは、支持体が紙ではなく、キャンバスで、長辺が2メートルを超えるサイズを持ったものが登場し、さらにはエディションのない1点ものの作品が登場したことである。これは、新たな「絵画」の提示であり、従前の「版画」概念への疑義であり、再定義であることは言うまでもなく、1988年のMAXI GRAPHICAの旗揚げに直結するものである。この営為は、木村のプロデューサー、政治家、活動家としての振る舞いの表面化でもあるだろう。言葉や活動を含めて、30年前の木村秀樹に、現在の木村秀樹がどのような影を重ねるのかに注目したい。


プロジェクトナビゲーター:中谷至宏(京都市美術館 学芸員)
1987年より京都市美術館と二条城に学芸員として勤務。専門は近現代美術史、美術館論、美術館史。「Parasophia: 京都国際現代芸術祭2015」キュレーター。1989年、「版から/版へ -京都1989-」展を企画し、木村秀樹をはじめとする17名の版表現を展示。